箱バル不動産をやっていて、もしかして「古い建物原理主義者」と思われているんじゃないかなと思う時がたまにありますが、
そんなことはありません。
実際、箱バルの富樫は新築も設計しているし、苧坂も将来家を建てたいなんて話もしています。
そんな中自分は今、古民家をリノベーションして住んでいるわけですが、古い建物というのはやはり何かと手のかかるもので、
仕事の忙しい今、手のかからない新しい家に住んだ方が楽なのかもしれません。
それでも今のところは他の家に住むというイメージは湧いていません。
年季の入った建材や経年変化していく素材に囲まれているという暮らしはなかなかいいものです。
新しい家と比べると冬はもちろん寒いです。お金をかけて断熱工事をしっかりやることも可能だと思いますが、
自分たちの場合は今後第2期工事をやるとすればその時にやろうかなと思っています。
古い建物の場合、耐震診断をしているものはほとんどなく、僕も今住んでいる家の耐震について
設計士に聞いてみましたが、「地震が来たら一番危ないタイプの建物です」と言われました。
耐震補強にはかなりお金もかかるので今はできないと判断しましたが、それでもやっぱり今の家が好きだったのでそのまま住むことにしました。
なので、お金もかけたくないし、地震に強い家に住みたい人には古い建物はお勧めしません。
「工事にそんなにお金がかかるなら新築した方がいい」という人もいますが、そういう方にも古い建物はお勧めしません。
古い建物を選ぶ動機が「安いから」だけでは、絶対にその後のその人の暮らしは豊かにならないと思います。
「大好きな古い建物で、不便も楽しみながら暮らす、問題も自分たちで乗り越えていく」くらいの、
今の世の中ではちょっと変わった人だけが、古い建物を選ぶべきなのかもしれません。
ただ、今の西部地区にはそんな人たちがたくさん必要で、できるだけ集まってきてほしいと思ったから「箱バル不動産」という
狼煙をあげました。
そしたら本当に面白い人たちが集まってきたのが2016年でした。
今年は出会いの年、本当にありがたいです。
箱バル不動産もつい先日4人から5人になりました。
僕が箱バルを通して伝えたいのは、カッコイイ建物は街の財産なので、壊しちゃう前に教えてくれたら、
僕たちが建物を磨き上げてくれる人を探しますという事。
そんな人たちがたくさん集まったら、古い建物も新築も、カッコイイ建物がたくさん集まるカッコイイ街になるんじゃないかなあと
想像しながら2017年を迎えたいと思います。
それでは皆様、よいお年を!
箱バル不動産 蒲生寛之