今年の春、現場から常盤坂の家に戻ると、街路樹として家の前に植えられていたナナカマド3本の内の2本が伐採されていた。
あまりにもショックで、すぐに市に問い合わせると、芯が腐り始め倒木の危険があり切ったとの話だった。
『常盤坂の景観上とても大事な街路樹だから必ずまた植えて下さい』とお願いして電話を置いた。
私にとってもこの街にとっても切っても切れない関係があるナナカマド。かつて大火が絶えなかった西部地区では延焼を抑えるのに道幅を広くしたり街路樹を防火帯として植えたり対策が加えられた。
ナナカマドは、7回カマドに入れても燃えにくいという理由と管理のしやすさからこの地域にも好んで植えられている。
私にとって4歳になったばかりの娘にも防火帯のナナカマドのように街や家を守り続けて欲しいとの想いから菜奈(ナナ)と名付けた。
すっかり今ではママを怒らせた時の防火帯として働いてくれる菜奈。
それは別としても、景観や歴史背景を守る為に、親としてもどうしてもこのナナカマドを守りたい。
市には頼んだものの、きっと植えには来ないんだろうな〜と疑心暗鬼だったが、つい先日新たなナナカマドを本当に植えに来てくれた。
函館市もやるな〜と素直に嬉しかった。そして来ていた植木屋さんによると樹齢も3〜4年との話。
ちょうど菜奈と同じ年のナナカマドが共に成長し、ここに根付いて行くと想うと感慨深い。
かつての日本では女の子が生まれたら、成長の早い「キリの木」を植え娘と共に大きくなったらその木で桐タンスを嫁ぐ際に持たせたようだが、さて菜奈が嫁ぐ際にナナカマドで何を贈ろう。変な妄想が膨らむ。