ゲストハウス=迎賓館?

箱バル不動産では今年の12月にオープン予定のゲストハウスの準備を進めています。

いまや日本全国各地でゲストハウスが急増中で、既にある地域では衰退がはじまっているともいわれていますが、「そもそもゲストハウスって何?」という質問が返ってくる事もまだ少なくありません。

そこで今回は少しゲストハウスの話をしたいと思います。

僕がゲストハウスという言葉と出会ったのは、雑誌HUgEの2011年2月号“MY HOME TOWN”だったと思います。

その時にHOSTEL64大阪のカッコいい内装を見て、ここに泊まるために大阪に遊びに行きたいと思い、夏季休暇を利用して実際に泊まりに行きました。

もともと宿泊施設を目的として建てられたわけではないビルを、古い建物の良さを活かしてリノベーションしたゲストハウスで価格もリーズナブル。

ゲストハウスというと、いわゆる「安宿」を連想する方も少なくないと思いますが、このころから始まっていたゲストハウスムーブメントにはそれ以上の付加価値があったのは間違いないと思います。

ゲストハウスといえば“スタッフや旅人同士の交流”というのも代表的な特徴の一つとして挙げられますが、僕の場合興味を持つきっかけは、こだわりの感じられるインテリアでした。

それ以前にも、海外に滞在していた時、共用キッチンやリビングがあり、部屋はドミトリー(相部屋)という宿にはよく泊まっていましたが、その頃は“バックパッカー”と呼んでいたと思います。

その時はインテリアがカッコいいという印象はありませんでしたが、いずれも宿のスタッフや旅人同士の距離が近い事は共通していると思います。

サービスや設備の整ったホテルに滞在しながら快適に旅行を楽しむのも嫌いじゃないですが、こういったゲストハウスを拠点に旅をすることで、現地で“生きた情報”を収集しながら、予定調和に終わらない旅を体験できるのではないかと思います。

2014年、函館のお隣札幌にもカッコいいゲストハウスができたと知り、すぐに泊まりに行きました。

UNTAPPED HOSTEL オーナー、神さんの宿です。

この時に現地で神さんとお話しして、宿主のこだわりが詰まった小規模な宿というのは、単に宿泊するだけの場所ではない事を改めて感じました。

こだわりや想いが世界中から感性の近い人を呼び寄せ、実際に顔を合わせて対話することで、何か将来の可能性に繋がっていく。まちづくりの入り口にもなり得ると思いました。

昨年12月に、岡山県倉敷で開催されたゲストハウス開業合宿に参加したご縁で、講師であった中村功芳さんを函館にお招きして、「地域を繋ぐ小商いmeeting」というイベントを先日函館で開催しました。

中村さんは、お話の中で、ゲストハウスを直訳すると「迎賓館」という事になるが、今多くのゲストハウスはその意味を成しているのだろうかと疑問を投げかけていました。

文化が文明になった時に衰退は始まるという言葉に僕も考えるところがあり、自分たちがどうして今宿をつくろうとしているのかという原点に戻って、新しい宿の形を模索しているところです。

箱バル不動産 蒲生寛之